ともきんぐだむ

主にゲームやアニメなどの話題について、その時、考えたことを書きます。

FE風花雪月をプレイしている時、僕は魔王だった〜帝国編をプレイした感想〜

一週間ぐらい前のことになるが、ファイアーエムブレム風花雪月をクリアした。

エーデルガルト率いる帝国を軸としたストーリーだった。

 

そして今は、二週目をいそいそとやっている。そんな人生だ。

 

このゲームは3つの国と、それに対応した3つの学級が存在し、プレイヤーはその中からひとつを選択する。

教師である主人公がどれを選択するかによって、物語は大きく変動するのだ。

随所に”選択”、そして”結果”がついてまわる。

FE風花雪月はそんなゲームだ。

 

私は、一周目のプレイで帝国を選択した。

最も歴史のある大国という設定が好きだったし、腐敗した貴族層との陰謀劇が見られるのだろうという期待があったからだ。

他の学級の生徒達も魅力的だったので、本当に、軽い気持ちの選択だった。

 

その期待はいい意味で裏切られた。

私は、このゲームで”魔王”になっていた。

 

 

 

 

※以下、FE風花雪月帝国編のネタバレが含まれます。

この作品は是非、前提知識ゼロでプレイし、その”選択”の”重み”を実感してほしいので、未プレイの方はブラウザバック推奨です。

 

 

 

 

主人公の名はトモキ。

こういうとき、主人公には必ず自分の名前をつけるようにしている。

選択の結果起きた出来事に対する責任を、自分自身が背負いたいからだ。

(ハンドルネームであり本名ではないが、まあ似たようなものだ)

 

トモキはジェラルトに連れられ各地を傭兵として渡り歩いた、世間から乖離した男だ。

顔は常に無表情で、何を考えているかは伺いしれない。

その心の内を知るのはただ一人、プレイヤーである自分自身だけだ。

 

そんなどこの馬の骨ともわからぬ男を、生徒たちは先生と慕ってくれる。

「あなたの側なら安心できる」

「先生のために頑張れる」

そんな事を言って様々な胸中を告白し始める生徒たち。

確かに顔はいいが、一体どこにそんな惹かれる要素があるのだろうか。

 

どう見ても無口でコミュ障な、それでいて人殺しは人一倍上手いこの教師を、かわいい生徒たちは無条件に信頼してくれている。

何やらマインドコントロールでもしているのではないか、というぐらいの慕われぶりだ。

しかし古今東西、英雄とは、よくわからないが人を惹きつける何かを持っているものだ。

そんな何かをこの教師は持っていたのだろう。

 

システムを理解していなかったため、生徒の勧誘は苦労した。

それでも、自分の学級の子たちが可愛かったし、それで満足だった。

他学級の彼らには、彼らの幸せがあるはずだと、このときは思っていたから。

 

唯一、一年も終わろうという土壇場でイングリットだけがうちの学級にやってきた。

飛行ユニットのいない我がクラスには願ってもない助っ人だった。

ただ一人の異国人になってしまったが(厳密にはペトラも)上手くやっていけるだろうか。

遅れてやってきたこの騎士志望の女子を、それでも僕は暖かく迎え入れた。

 

そんな生徒たちに支えられながら、修道院の水面下で動く陰謀劇を中心に物語は動いていく。

「なるほど、生徒たちとの絆で、学級一眼となってこの黒幕に立ち向かっていくのだな」

「こいつらのせいで、避けられない戦いに発展するのだな」

 

と、この時期は思っていた。

5年後があるということはぼんやりと聞いていたので、この”悪の組織”がどうやって戦争に結びつくのだろうか、などということばかり考えていた。

 

しかし、そんな予想は全て裏切られた。

 

うちの級長が全ての元凶だった。

 

困惑する生徒たち。

突然現れた三下臭い帝国軍幹部を引っさげて現れたエーデルガルト級長を、生徒たちが一丸となってお仕置きする。

 

作戦が破られ膝をつくエーデルガルト。

三下臭い帝国軍幹部はあっさり死んだ。

心の広い教師である僕は、「まあ、誰にでも反抗期はあるよね」という気分で手を差し伸べ、事態を収集させようとした。

 

しかし、大司教であるレア様がそれを許さない。

「今ここで、エーデルガルトを斬れ」という。

 

そして画面に踊る「この選択で物語が大きく動きます」という文字。

 

視界がぐにゃりと歪む。

手塩にかけて育ててきた生徒を、華奢な身体して斧で敵をザクザクかっさばいてくれたこの生徒を、手にかけなければならないのか。

 

レアもエーデルガルトも、正直運命を共にするにはおっかない相手だ。

この時点ではエーデルガルトの目的がわからないのに、突然「理想のためにお前たちは死ななければならない」とか言ってくるし。

レア様はレア様で「反逆者は死をもって償わねばならない」と事あるごとに言っていて、「こいつ本当に聖職者か?」という気分になるし。

 

決定的な根拠のないまま、エーデルガルトを選んだ。

「ま、なんだかんだいい子だしな。多分」

ぐらいの理由だ。

あと一つぐらいレア様とキャッキャウフフするようなイベントがあれば、レア様に従っていたかもしれない。そんないい加減な選択。

しかし、そのトモキのふわふわした決断が、全員の運命を狂わせることになる。

世界の命運が、どこの馬の骨ともわからぬ教師によって決まった瞬間だった。

 

選択前のセーブデータは念の為残してあるが、このセーブデータから教会ルートを選ぶことは、二度とないと思う。

 

エーデルガルトに味方することを選んだトモキ。

それを見たレア様は、「失敗作は死をもって償わねばならない」と発狂し始めドラゴンに変身する。本当にあなた聖職者ですか。

 

そしてあれよあれよという間に出撃準備が整う。

生徒たちは教会に刃を向けることに動揺していたが、

「エーデルガルトと先生を信じるぜ!」

と言ってついてくる。

 

いや、待て。

皇帝様はともかく、この教師はろくな理由で戦っていない。

「多分いい子だと思う」ぐらいの理由で陛下のために戦おうとしているだけの、いわば三下だ。

「あいつがやれって言ったんだ!」と言って死んでいった、あの帝国軍幹部と思考レベルは対して変わらない。

 

そして、基地にはイングリットの姿も。

「王国がどうなるかわからないけれど、先生を信じます!」とか言ってくる。

いや、待て。

騎士ならもうちょっと母国に忠義を持ってくれていいんだよ?

家族と決裂しかねないよ?

学級を抜けます! とか言ってくれていいんだよ?

それなのに、ついてくる。

僕はどこまでカリスマを持っているのか。

 

このあたりで、ようやくどこの馬の骨ともわからぬ教師は腹を決める。

こんな自分を信じてついてきたイングリットの想いに報いるため、真面目に教会と戦う決断をする。

エーデルガルト陛下も、自分の指揮の下で戦いたいと言ってくる。

どこの馬の骨ともわからぬ教師を支柱に、ひとつの軍隊が生まれた。

皇帝陛下が名付けたカッコつけた名前をディスったら好感度下がった。

 

そして、始まったガルグ=マク修道院攻略戦。

レア様の側近であったセテスがブチギレてる。

「貴様ァァァァァ!」と叫びながら襲いかかってくる。むき出しの殺意だ。

軽く懲らしめてやると、ありったけの呪詛を吐きながら退散していく。

本当に、取り返しのつかない選択をしたんだなと察した。

しかし、もう引き返せない。

 

序盤の修道院散策でとあるモブが言っていた

「ああしときゃよかったーみたいな選択ってあるだろ? でも、選択しちゃったら戻せないんだよな。人生ってそんなもんだ(うろ覚え)」

みたいなセリフが突き刺さる。

 

レア様を撃破

戦いの最中、トモキは暴れ狂うレア様に巻き込まれ水没する。

 

そして、5年が経過した(ここは雑)

 

5年の間、帝国は他二国に対して戦線を布告し、フォドラを統一するための侵略戦争を始めていた。

やっていることが、完全に悪役のそれだ。

 

「先生がいれば百人力よ!」といって、エーデルガルト皇帝陛下は、自分の指揮下で戦うことを希望してくる。

他の生徒達も、次々と「先生のために!」と参戦の名乗りを上げる。

あの引きこもりのベルナデッタでさえもだ。

 

その中には、王国出身のイングリットもいた。

聞けば、実家を出奔したらしい。

え、マジで? そこまでするの?

5年間行方不明になるような怪しい男を慕って、実家を捨て、母国を捨ててまでついてくるの?

縁談に困ってはいたけど、そこまで父親と険悪でもなかったよね?

軽い気持ちで引き抜いたこの子の人生を、180度ひっくり返してしまった。

この子を引き抜いたことは、果たして幸せだったのだろうか……と思わずにはいられない。

 

自分の決断に、生徒たちの人生も運命も握られている。

皇帝陛下のためという名目こそあるが、実質的にその軍を率いているのは自分だ。

そして、ゲームである以上、自分の軍は必ず勝利するし、敵は滅びる。

そんな恐ろしい力を持った魔王として、ゲームの世界に君臨していることを自覚したのは、このあたりだった。

 

そして始める侵略戦争

我らが皇帝陛下は大層な理想を抱いておられるが、他国からすればただの侵略者だ。

 

まず攻め込むはレスター諸侯同盟。

その最初の戦場にかつての生徒たちがいた。

 

彼は確かイグナーツ。

ポッターのような見た目の少年だ。

5年経ったら、年をとったポッターみたいになった。

正直彼のことはあまり覚えていないが、戦闘には不向きの優しい少年だったと思う。

 

そんな青年に戦場は似つかわしくない。

これは先生直々にお仕置きする必要があると、軽い気持ちで天帝の覇剣で殴った。

 

そしたら、「これで決める」と言い始め、必殺を出した。

悲鳴を上げて倒れるイグナーツ。

 

この演出は知っている。

過去のFEで人が死ぬ時こういう演出になる。

 

そしてそのまま、イグナーツは死んだ。

「みんなごめん……」みたいなことをいいながら。

 

たしかにこれまで交流は少なかったが、それでも落とし物を届けたりする仲ではあった。

そんなポッターを、この教師はいつもの無表情で葬り去った。

ご丁寧にレベルアップまでした。

 

こんなにもあっさりと戦場で散るかつての教え子の姿を見て、恐ろしくなってしまい、周囲から押し寄せるレオニーとローレンツは放置して、とっとと敵将を討ち取った。

こうすれば、きっと捕虜として命だけは保証されるだろうと思ったからだ。あわよくば、再び引き抜くことができるかもしれない。

敵将が死ぬのはいつものことなので、特に思い入れは感じない。

人の命が不平等なのは、戦場の常なのだ。

 

続く探索で、捕虜となった二人がいないか、修道院を歩き回る。

が、いない。

戦勝ムードの兵士たちと、やっぱり「陛下と先生を信じます」と言ってくるイングリットがいるだけだった。

その後、敗将たちがゲームに登場することはなかった。

もしかしたら、打ち首になったのかもしれない。その最期を、このゲームは教えてくれない。

 

罪を目にした時、人間がまず行うのは、自己弁護だ。

「敵だから仕方ない」

これだけならばまだよい。

 

しかし、引き抜いた結果、今も幸せに戦勝ムードに浸っている信者イングリットの存在がそんな生半可な言い訳を許さない。

そうして生まれた言い訳はこうだ。

 

 

「僕に従わなかったのが悪い」

 

 

魔王誕生の瞬間だった。

 

続く、レスター攻略戦。

最終防衛ラインに立つのは、かつての級長クロード。

その前に立ちふさがるのは、リシテアとヒルダの二人。

 

リシテアに関しては、一時期勧誘しようと頑張っていたので、それなりに知っている仲だった。

ヒルダはスカウト不可だったらしくプレゼントすら送れなかったので、よく知らない。

 

この時、既に心持ちは魔王だったので、先生自らリシテアに天誅を下した。

すると、イグナーツとは違う出来事が起きた。

「どうせ……ろくでもない人生なら、いっそ帝国に降ってでも……」

みたいなことを言い始め、命乞いをしてきたのだ。

これまでちまちまと好感度を上げてきたのが効いたのだろうか。

 

魔王にも慈悲の心はある。

それに、この子のいう「ろくでもない人生」の中身を知らなかったので、興味が湧いた。

そのため、リシテアの投降を受け入れてやることにした。

「ほう……面白い……ならばその命、捧げてみせよ」

魔王は自分の好奇心を優先する。

 

そして、リシテアは将の一人として、この侵略戦争に加担することになる。

客観的に見ればとんでもない話である。

この男は故郷を滅ぼし、そして級友を殺した男だ。

ヒルダも、クロードも彼女の目の前で殺された。

二人には好感度を上げる余地がなかったため、仕方がなかった。

 

そんな生きるために投降したはずの少女だったが、次の瞬間には皇帝陛下の思想に共感し、洗脳済みのイングリットよろしく「先生を信じているから」と言ってくる。

魔王のカリスマはとどまるところを知らない。

 

その後、支援会話などを通じてリシテアの境遇を知るうちに、この子を幸せにしたいという思いが湧いてきた。

なので、最終的に嫁にすることにした。

鬼畜と言って差し支えない所業である。

 

そんな折、押し寄せてきた教会軍。

率いているのは、ありったけの罵倒をぶつけてきたセテス、その妹であるフレン。主人公と師匠を同じくするおっさんアロイスの三名だ。

フレンは一度は自分の生徒になった仲だ。シスコンの兄も嫌いではない。

なので、なんとしても救ってやりたいと思い、一縷の望みをかけて魔王自ら天誅を下した。

 

そしたら、フレンは死ぬことはなかった。

しかし、やはり帝国と相容れることはなく、セテスとともに、心が折れて隠居生活に戻るという。

本音ならば学級に復帰してほしかったが、無慈悲な殺戮が行われる中、ちゃんと生き延びてくれたのは数少ない救いだった。

なおアロイスは死んだ。

 

一人のメインヒロインを除いて、皆殺しにされてしまったレスター諸侯同盟。

残る敵は、ファーガス神聖王国だけだ。

 

要塞アリアンロッドを落としてからは、最早王国に勝ち目はない。

そこにあるのは一方的な侵略戦争だ。

帝国編では、自軍がピンチになることがないので、なおのこと無慈悲な殺戮という表現がしっくり来る。

イングリットにとっては、母国との決戦になるわけだが、既に洗脳は完了しているため問題はない。

 

王国からすれば、なんの正当性もない侵略戦争

シルヴァンが、フェリクスが剥き出しの敵意をぶつけてくる。

試しにイングリットをぶつけてみたら、「この裏切り者が!」と罵声を浴びせられてしまったが、既に洗脳は完了しているため問題はない。

戦闘向きではない性格のメルセデスも、凶刃に倒れた。

ここまで来ると、作業のように生徒たちを殺していき、その断末魔を聞き届ける。

最早、いたわりの心など麻痺してなくなってしまったのだ。

 

国王ディミトリの側近であるドゥドゥーは、敗色濃厚と見るや人間をやめて襲いかかってきた。

しかし、それすらも精鋭ぞろいの我が軍には太刀打ちできず、倒されていく。

かつての教え子が、悪あがきでしかない特攻をしてきて、そのまま散っていく光景を眺めるのは、実に心痛む光景ではあったが、既に私は魔王なのだ。

逆らうものに待つのは、死のみである。

彼らに足りなかったのは唯一つ。好感度だ。

 

ファーガス神聖王国は、ありったけの呪詛を吐いて倒れたディミトリの死とともに、滅亡した。

 

魔王には、新世界の神となる仕事があるので、旧世代の神には退場してもらわなければならない。

そのあたりの利害がエーデルガルトと一致したため、魔王軍は最期の戦いに臨む。

 

立ちふさがるはレアの側近であったカトリーヌとツィリル。そして、王国軍の残党であるアッシュとアネット、ギルベルトである。

しかし、これまで数多の屍を築いてきた我々に最早慈悲はない。

ベルナデッタの矢が、ドロテアのメティオが、敵将を的確に撃ち抜いていき、誰ひとり倒れることなく敵を撃破していく。

 

この戦いに正義はない。

強いて言えば、勝者が正義であり、勝者とは私のことだ。

ただ、絶望の言葉を吐いて死んでいく彼らの死体を踏み越え、ついには旧世代の象徴である大司教を討ち果たした。

 

そうして、戦争は終わった。

屍の山の頂点に立っていたのは、理想のために手段を選ばないピュアな皇帝と、自身の一存で何人もの運命を変えてきた魔王だった。

 

魔王は、新世界では大司教として君臨したのだという。

「先生のためなら」とあっさり家族や故郷を捨てさせる魔王には、ふさわしい役職であると思う。

そして手篭めにしたリシテアを嫁とし、魔王は末永く幸せに暮らした。

 

生徒たちはそれぞれ理想の相手を見つけながら、幸せを手にした。

同胞を全員殺されたイングリットでさえもだ。

一体、何が彼らの命運を分けたのかを考えると、結局は一つに行きつく。

「魔王の気まぐれ」だ。

 

ファイアーエムブレム風花雪月というゲームは、実に無慈悲なゲームだ。

かつて同じ屋根の下で学んだ仲間たちを、戦争という理不尽の中殺し合わせる。

どの国が絶対の正義ということはなく、それぞれが、それぞれの正義のもと命を奪い合う。

誰もが主人公になれるがゆえに、絶対の"悪役"は存在しない。

戦争とは、善悪の戦いではなく、人間の戦いである。そんな事実を突きつけてくる。

 

そんな彼らの前に君臨するのが、プレイヤーという魔王だ。

この戦争の行方は「主人公がどの国に味方するのか」という一点で決まる。

それも、各国の立場を十分に知った上の選択ではない。

情報の少ないゲーム冒頭の何気ない選択が、国家の運命を決めてしまうのだ。

これを悪魔的と言わずしてなんと呼ぼうか。

 

敵対した国の生徒や大人たちは、もれなく悲惨な結末をたどることになる。

しかし、それもまた魔王の一存により、限られた人間だけが救済を手にすることができる。

(二周目以降ならばともかく、一周目で全員を仲間にするのは難しい)

魔王の呼びかけに応じ、魔王を信じさえすれば救われるのだ。

どの生徒に重点的に声をかけるかという点も、またプレイヤーの気まぐれに過ぎない。

「見た目が好みだから」程度の理由なんてザラだ。

 

この作品において、主人公は作中世界の人物というよりは、プレイヤー自身のアバターといったほうが近い。

その無表情の下には、この世界の住人には近くできないはずの、好感度などのステータスが目に見えるし、重要な選択肢も視覚化されている。

プレイヤーという超越した存在が、作中人物たちの、そして国家の運命を決定していくのだ。

 

ゲームとは、世界を選択し、世界と相互作用するメディアであると言える。

ファイアーエムブレム風花雪月は、そんなゲームの一側面を徹底的に磨き上げ、プレイヤーに突きつけることを選んだ。

 

往年のSRPGの名作「タクティクス・オウガ」など、選択により世界の命運が決まるゲームは多々ある。

しかし、それをいわばペルソナタイプの超越的主人公によって成し遂げ、膨大な作り込みとテキスト、魅力的なキャラクターによってその選択の重みをいやというほど実感させたという点において、このゲームは実に新鮮で魅力的な体験を与えてくれる。

 

今、筆者は青獅子の学級を率いて2周目をプレイしている。

今度は、級長を除いて全生徒をスカウトしていく、「全員救済プレイ」だ。

2周目ゆえの安定感、全てを知った上での安心感がそこにはある。

目の前のキャラクターたちも、「一個の人格」というよりは「攻略対象」という側面が強くなったように思う。

より、「ゲーム的に」世界をコントロールしていると言ってよい。

ドラクエYSも、このあたりに踏み込んでくれたら良かったのにね

 

だからこそ、手探りで選択の重みを実感した一周目の体験は、何にも代えがたい貴重なものであった。

「エーデルガルトを斬らない」という選択を押した時のボタンの重みは、一生忘れないだろう。

なので、そんなプレイの思い出を、ここに記録としてまとめた次第である。