男オタクが知識ゼロでうたプリに入国してきた
こんにちは。ともき(@tmk_423)です。
TL上で「前提知識が一切なくても大丈夫だから全人類見て!」という宗教のような勧誘の声を多数観測したので、重い腰を上げて「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム」を見てきました。
咄嗟の思いつきの行動だったので、キャラクターの名前すら予習していません。
21日からアンコール曲が追加されるのに、20日に視聴してしまった。惜しいことをした。
私は普段はKING OF PRISM(女性向けの皮を被った男児向けホビーアニメ)のオタクをやっているので、世間一般の男性オタクに比べれば、女性向けジャンル、特に男性アイドルものに対する心理的ハードルは低いです。
しかし、乙女ゲーム原作というコテコテの女性向けジャンルは初めてだったので、正直乙女の感性を持ち合わせていない自分が楽しめるのか? という懸念もありました。
「○○くんの手首が好き!」「今日も推しが尊い……」みたいなこと言えないぞ、自分。
でも、結論から言うとむっっっっっっっっっっちゃ楽しかった。
そんなわけで、うたプリ歴0日の男性の視点から見た、「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム」の面白かったポイントをつらつらと書いていきます。
みんなもうたプリ見ようぜ!
※主観1000%で書き殴っているので、間違いも多々あるかと思われますが、その際は優しくご指摘ください
開幕作画がいい
まずはアイドルたちが汽車に乗り込み、どこかへと向かうシーン。
いきなり出た「原作:上松繁康/ブロッコリー」の文字。
あっ、この作品Elements Gardenが関わってるのか。Elements Gardenといえば、アニソン界に多くの名曲を生み出してきた作曲家集団。最近だとシンフォギアが有名。
この段階で一気に期待値が上がる。
そして、電車に乗り込むシーンの作画がやたらに細かい。
脚しか映ってないのにちゃんと個性が表現されている。
前提知識がないので何もわからなかったけど、絶対ファンならわかるやつ。
それでも、歩き方一つで無数にバリエーション出してくる様が、単純に見ていて楽しい。
ハンカチ落とす子とそれをすかさず拾う子とか、色々な想像が膨らむ。
そして、汽車は虹色の煙を発しながら宇宙に出発。
……この段階で、「このアニメはトンチキ系なのか・・・?」と思ったけど、このアニメはいい意味で予想を裏切ってきた。詳細は後ほど。
汽車の中の待合室と思しき部屋で、それぞれのキャラの名前が次々紹介される。
「初心者でも大丈夫ってこういうことか〜」と思いつつ、矢継ぎ早に説明なしに18人の名前が表示されるので「いや数多くてわからんわ!」となる。
そんなわけで、キャラの顔と名前は全く一致しなかったけれど、とりあえずみんな顔がいいことだけはわかった。
「ライブ」という「ミュージカル」
場面は変わってライブ会場。
なんか城がある。そして柱の上でなんか歌い始めた。危なくない? 大丈夫?
開幕からブチかましやがる! と思って聞いていたら、王国の成立を宣言するかのような、壮大で雄大なメロディ。
いわゆる「アイドルソング」って感じではなく、すごくミュージカルっぽい雰囲気。7人の衣装が城に合わせた貴族風なのもそう思わせる一因かもしれない。
7人が指で☆を描いたら、その通りに光った。なんでもありのイリュージョン好き。
背景のディスプレイで何度かチーム名が表示されるので、自然と名前を覚えられるのも素人には嬉しい。スターリッシュっていうのね。
7人が虹を描いたら、城にも大きな虹がかかった!
・・・どうみてもDだけど大丈夫?
そしたら、剣を持った4人組が登場。
さっきの7人が貴族だとしたら、こっちはナイトって感じ。
スターリッシュもそうだけど、開幕のパフォーマンスは本当に「新しい世界へようこそ!」って感じでアトラクションを見ている気分。
ガンガン「王国」という世界観を魅せてくる。でも単なるおとぎ話の世界じゃなくて、雷光らせまくったり演出もド派手。
地面を稲妻が走るのとか、軽率にテンション上がっちゃう。
CGも時々動きは固いかなーと思うけど、影の付け方とか表情とかがほとんどアニメと遜色なくて凄い。良い顔をいかに表現するかに命かけてる。
3グループ目はなんかワイヤーにつられて現れた。
いや、そのワイヤーの付け方なんか危なくない? 飛び降りやがったし。
このあたりで「汽車はともかく、ライブ自体はなんだかんだ物理的に可能なラインを徹底してるんだな」と思った。(この予想は再度裏切られることになる)
HE VENSというらしい3組目は、結構厨二感溢れる感じで好き。
こちらは稲妻ではなく、地面に青い炎が走る。
この人達、歌でバトれそう。
3つのショーはグループの個性を出すためか、結構曲調も演出もバラバラなんだけど、「ミュージカル感」によって不思議なほど調和していた。
「凄いとこ来ちゃったな」って思い始めた。
リアルなトークパート
なんかいきなりマイクでトークが始まった。
言葉の合間合間に悲鳴が聞こえたりして(通常上映です)すごく実際のライブみたいな感覚。
本物のライブにいるような感覚で楽しむ作品なんだとこのあたりで理解した。
そしてガヤのリアリティがやばい。ガヤ芸はプリパラの声優無法地帯の印象が強かったけど、こっちはプロがガチでガヤの雰囲気を再現しに来てる。クレジットみたら、30人ぐらいガヤをやってた。すごい。
そして、キャラによって合いの手入れやすい奴と入れにくい奴がいるのも芸が細かい。いるよね、きちんとレスポンス前提に話すタイプと、とにかく思いの丈をガンガン話すタイプ。
どうやら、事務所も違う3グループの合同ライブらしい。
メインのシナリオを全く知らないけど、これはあれか。「かつてライバルだったもの同士が手を取り合って未来へと進んでいく」ってやつか。
そういう少年漫画っぽい熱い展開は大好きだ。
これはシリーズ追っかけてたファンはたまらんやろなあと思っていたら、お次はチームの垣根を超えたシャッフルチームのライブが始まるという。
それにしても手書き作画でもよく動くね君たち。
個性爆発シャッフルユニット
最初に出てきたのは、リーダー属性っぽい3人。
赤髪って主人公って感じするよね。
なんかお姫様抱っこした。ガヤも黄色い悲鳴でガッツリ応戦。
めっちゃ練習したらしい。
王道系のアイドルソング。楽しい。
お次は籠の中に閉じ込められた3人がダークな雰囲気の曲を歌い始める。鎖が凄いことになってるけど、セットの用意大変だな!
我の強そうな二人に対して、メガネの優男くんだけ微妙に雰囲気違う気がしたけど、実は結構ドSだったりするのか?
最終的にカゴが割れて自由になったところでフィニッシュ!
3組目は紳士的な三人。
その落ち着いたオーラに合わせてか、水を用いた演出が光る。
・・・と思ったら、噴水がブシャブシャでた。そして浮いた。
水圧で足場を固定するって、ゲームでしか見たこと無いよ。
このあたりで「リアルなライブとは・・・?」と認識を修正し始める。
続いて、厨二あふれる三人組。
「お城」というギミックをふんだんに使っていた。
ユリの花を投げたりかかげたり。
衣装もヴァンパイアみたいな感じで、この組だけ演劇を見ているかのようだった。
その次はいわゆる「カワイイ男子」たち。
むっちゃ嫌がってる子と、淡々と状況に適応してる子はいいとして、自分をカワイイと自覚している男は、男を狂わす男って感じがした。
なんかキャンディが弾けたと思ったら、謎の生き物が空中を舞う。
本当になんでもアリになってきたな!
という段階で最後に現れたユニット。
走るための滑走路が出現したので「運動神経いい組かな?」と思ったら、その場で高速回転を始めた。
そして、飛んだ。
ジェットのついたサーフィンによってだ。
彼らいわく、「魔法のボード」らしい。なんなんだそれは。この世界には魔法があるのか!
6チームのライブはどれも個性的で、舞台演出も合わせてみている側も飽きなかった。
初心者的には、個性でまとめられたチームのおかげで、それぞれの個性がある程度わかってきたのもありがたい。
その後は再びトークタイム。
個人的な友情とかじゃなくて、音楽のプロとして互いを認めあっているという関係が素晴らしい。
プロ意識の高さを見せつけられると弱い。
再度ユニット曲
シャッフルチームを終えて再び元のユニットに戻る。
HE VENSの曲が「これぞElements Garden!」って感じのクサメロ全開でテンションがぶち上がった。映画全編を通して、この曲が一番好き。彼らならきっとシンフォギアもまとえる。
QUARTET NIGHTはダンスのレベルが高い。実力者集団って言ってたけど、本当にそれを実感させてくる。
ST☆RISHはとにかく王道! 情熱! 爆発!といった感じ。とにかく視覚聴覚全てでこちらを打ち上げにかかる。あの量の火薬には屈服するしか無い。
ここまで来ると、キャラクターのこともある程度わかってきたので、最初とは違った気持ちで見られるようになる。
個性でまとまったシャッフルチームと違って個性はバラバラだけれど、それでもこのメンバーが一番しっくり来るんだな、とわからせてくるのだ。バラバラの個性が、チームのカラーの中で自然に調和している。
わずかなトークでそれがわかるんだから、脚本も素晴らしい。
とどめのエレクトリカルパレード
最後のトークショー。
それぞれのユニットの苦労が端々から伝わってくる。
このあたりは本編を履修しないとわからないんだろうけど、やっぱりプロ意識が端々から見えるのが好きだ。
僕は彼らのことを「アイドル」ではなく「アーティスト」としてみていたのだと思う。
最後は、18人全員でショーをする。
まじか。CG班すごいな!
と思った矢先に始まるエレクトリカルパレード。
光る台車に乗ってアイドルたちが歌い、踊る。客席の中を台車が滑走していく。
さすがオオトリ! きらびやかだな! と思ったら違った。
線路が現れた。
そう、線路が現れたのだ。
宇宙に伸びるやつが。
冒頭で見たあの機関車が、エレクトリカルパレードを牽引して宇宙へと向かっていく。なんか後ろに星もくっついている。
なぜかアイドルたちは既に地上にいて、宇宙を無人のエレクトリカルパレードが駆け巡る。
星が爆発して、客席にイリュージョンをばらまく。
背景には色んな色の花火がこれでもかと爆発する。
なんか幸せになりそうな成分をよくわからんけど全部詰め込みましたみたいなすごい映像に、見ているこちらも笑顔になってしまう。
そして、変な後付けのイベントもなく、そのままフィニッシュ。
意地でもこの幸福感をそのまま持ち帰らせたいらしい。
エンドロールは宮野氏のソロの中、回想の一枚絵が次々流れてくる。
最後には、舞台袖からステージを眺める女の子が。
この子は知ってる。主人公の子だ。
事務所が違うという3組のライブは様々な困難が合っただろうが、それを成功に導いた影にはこの子の尽力があったのだろう。
当然裏方なのでライブ=本編には登場しなかったが、バックストーリーを想像させる素敵な幕引きだった。
おわりに
映画というより、ひとつのライブをまるごと再現するというスタイルはとても新鮮だったし、一人の観客として楽しむことができた。観客の声も、その臨場感の演出に一役買っていたと思う。
そして、アーティストとしてストイックに音楽を追求する彼らの姿勢が伺えたり、彼らの個性がシャッフルチームやオリジナルチームという側面からうかがい知れるので、何も知らない人でも彼らのことが好きになれるし、昔から追いかけていた人たちはなおさらなんだと思う。
ライブのCGのクオリティは高いし、何より多彩な舞台演出は圧巻。これを堪能できるという点だけで、この映画にお金を払う価値はある。男性アイドルと思って苦手意識を持つ人がいるかもしれないが、一流のエンターテイナーのパフォーマンスを見る気分で見れば、間違いなく楽しめる。さらに、ツッコミセンサーを総動員しなければならないトンデモっぷりもあり、とにかく"贅沢"の一言に尽きる。
ちゃんと「男の子たちー?」という声かけもあるので、応援上映で野太い声を上げるのも悪くないなと思った。
とはいえ、欠点もないわけではなくて、トークパートは背景を知らない人にはやや長い。画面としての動きが少なかったので、一工夫あればもっと化けるのかもしれないけど、ライブのリアリティとの兼ね合いも合って難しいな。でも、そんなことを吹き飛ばすぐらい、ライブのパワーがすごかった。
ともあれ、この映画は娯楽作品として一級品で、色んな人が楽しめると思いました。
この記事で興味を持ってくれる人がいたら幸いです。
ではこれにて!
余談
舞台から客席を見渡すようなアングルを見て「京極演出っぽいなー」って思ったら、絵コンテに京極尚彦さんいて笑った