ともきんぐだむ

主にゲームやアニメなどの話題について、その時、考えたことを書きます。

FINAL FANTASY IX 〜好きなゲーム紹介②〜

第2回どうしようかな〜といろいろ考えていましたが、下手に構成とか気にするよりも、自分の大好きな作品を順に紹介していくのがいいだろうと思い直して、深くは考えずに進めていくことに(下書きはすでにたくさん溜まっている) というわけで、今回語るゲームはFINAL FANTASY IXです。

様々な理由により、どうにも不遇な感の否めないFFですが、その内容に魅せられた熱心なファンが多いこととHDリマスターでの普及により、今では良作として評価されている印象。

現在なら大体の機種でリマスター版がプレイできます。

この作品はディレクターの坂口氏が「命」をテーマにしようとした作品。

FF2の開発時に、坂口氏は親を失ったとのことで、「命の大切さ」を考えたかったと述べており、その意味では彼のライフワークのひとつなのかもしれません。

FFというと、「ここは俺に任せて……!」という自己犠牲シーンの多さが特徴でありますが、この作品はむしろ真逆。こぼれ落ちていくような命にも目を向け、手を差し伸べる。そんな優しさに満ちた作品です。心境の変化でしょうか。

「原点回帰」をテーマにした本作ですが、シナリオのあり方はかなり独特のものになっていると感じます。

この時期のFFは一つ明確なテーマがあり、メインキャラクターたちにその主題を背負わせるという形態をとっています。 愛をテーマにしたFF8などがわかりやすいでしょうか。

この作品は、「生」というテーマを各キャラに背負わせています。

それは、単なる生物学的な生ではありません。「何を持って生きていると言えるのか?」「生きているという証は何なのか?」といった「生」を巡る問いと共にあります。

このゲームにおいて、「生命」とは他者にとっての生命、すなわち「記憶」であると定義します。そのため、記憶や自己認識にまつわるキャラクターが非常に多い。

自身のアイデンティティが存在しないジタン。

他人から押し付けられた生を生きるガーネット。

「正しい生」に固執するスタイナー。

恋人の「記憶」が失われたフライヤ。

「生」という問いと無縁に生きてきたクイナ。

生きる目的が存在しないサラマンダー。

生を見届けるものがいない孤独を生きるエーコ

そして、「生」というテーマに悩み続けるビビ。

彼らが悩みつつも、手を取り合って答えを見つけ出していく、世界の危機と内面の自省が対比された物語は、FFらしさの集大成とも言えるでしょう。

FFといえば、コミカルなドット絵でドラマチックなストーリーを展開してきたシリーズでありました。

「原点回帰」をうたう本作は、ドット絵の世界からそのまま飛び出したような、コミカルで温かみのあるグラフィックを採用しています。 鎧をカシャカシャいわせてドタドタと走るスタイナーや、放り投げられてぴょんぴょんバウンドするエーコなど、リアルな世界では描きにくい活き活きとしたキャラクター表現が、世界観に息吹を与えています。

FFは妙な持論を持っていたり、ドタバタなコメディをやっていたりと、モブとの会話が楽しいシリーズでもあるのですが、その魅力も健在。寄り道要素も豊富なので、町を探索するのは実に楽しい。

それに付随して町も魅力的なものばかり。外の大陸には町が少ないのが欠点ではありますが、「眠らない街トレノ」や「劇場艇」など、見るだけでワクワクするようなロマンあふれる施設が多数登場します。

そういったキャラクターの個性をふんだんに表現するためか、この世界の住人は大半が動物との融合体だったりします。しっぽの生えたジタンや、ネズミの麗人フライヤなど、実に着想が魅力的。てか「ネズミの麗人」って発想すごくないですか?

とにかく、世界観の魅力が大変に素晴らしくて、これを堪能したいというだけでもプレイする価値のあるゲームです。

また、FFといえば召喚獣! ということで、召喚獣をシナリオの主軸に添えた作品でもある。

兵器として使われる描写があったり、召喚士が特別な血筋を持つものとして扱われたり、シリーズの中でも特に「召喚士」というポジションを特別視している。

特に、ポッと出と名高いラスボスの正体に関しては召喚獣に対する理解が必須。

しかし、なんといってもこの作品最大の魅力はエンディングに集約されているでしょう。

冒頭で登場した「誘拐」という設定を回収する粋な演出や、本作屈指の名言「誰かを助けるのに理由がいるかい?」など、作中を通じて描かれてきたテーマやモチーフが次々と回収されていくエンディングは、この人形劇のようなドラマの閉幕にふさわしいロマンチックなものです。

そして、それぞれのテーマが回収され、それぞれの未来へと「生」きていくエンディング。最もこのテーマと向き合い続けたビビの語りが素晴らしい。過酷な運命を背負ったビビが出した「答え」に涙を流すこと必至です。

そこから畳み掛けるように拍手喝采のハッピーエンド。

エンディングはぶっちゃけかなり長い部類なのですが、その長さを感じさせないぐらいに中身が詰まっていますし、必要なことが語られつくされていて、長いプレイ時間に見合ったご褒美として機能しています。

やっぱり、長時間プレイしたのだから、それに相応しい幸せな結末を見届けたいですからね。

エンディングの素晴らしさという点に関しては、ちょっとこのゲームを超える作品はないかもしれないというぐらい、エンディングで全てを持っていくゲームです。

こんな人にオススメ

・可愛らしい世界観を冒険したい

・かっこいい主人公や魅力的なキャラクターと出会いたい

・とにかく泣きたい

名曲3選

あの丘を越えて

フィールド曲。というにはあまりに静かでしっとりとした曲。

世の中、フィールド曲らしからぬ曲、とされる曲は数あれど(そもそもフィールドらしい曲ってなんだ?)その中でも、特にフィールド曲らしくないかもしれない。

この音楽のモチーフは随所に用いられていて、エンディングも彩る。

おとぎ話のような世界観を象徴するような曲。

バトル1

地味に好きなんですよね、通常戦闘曲。

イントロの盛り上がりとか、サビのところのキラキラしたストリングスとか。

オリジナル版では、戦闘画面の導入がやたらに長く(背景をびゅーっと見渡す)イントロの終わりと同時に戦闘が始まるという洒落た演出になっていた。

それでも戦闘に入るのに30秒近くかかるのはおかしいということで、リマスター版では普通に戦闘が始まる。惜しい。

Final Fantasy

Vからエンディング専用曲みたいになったこの曲。

一番好きなのがIXバージョンです。

このバージョンは普段使われているものと微妙にメロディが違います。

通常: C-F-G-C-Bes-A-G-F-E-F-G-F-F-E

IX: C-F-G-C-Bes-A-G-F-E-F-G-D-F-E

この一音の変更により、曲全体が柔らかく温かい印象に変わります。

アレンジもストリングスによる静かなタッチにより始まっており、例えばFFIVみたいな勇壮なイメージとは真逆の印象を与えます。

それが、FFIXの温かみのある世界観と、優しい物語にマッチしていて感動を誘うんですよね。

FINAL FANTASYらしさ”を追求したFFIXの締めくくりに相応しい、染み入るようなメインテーマです。

個人的な思い出

実は一番最初にプレイしたFFはこれだったりする。

当時自分にとってRPGとはドラクエのことだったので、なんといってもアレクサンドリア兵に衝撃を受けた。

「え・・・? 普通に人間と戦うの?」

「どんな気持ちでこっちに襲ってくるの?」

「倒したら死ぬの?」

「バハムートに巻き込まれたけど、皆死んだの

「てか何その格好」

・・・いたいけな少年に良からぬ性癖が植え付けられた瞬間である。

その後、FF4,5,7あたりでそのあたりの嗜好が決定的なものになっていく。

そういう意味でも想い出深い作品。

・・・素敵な作品なのに最悪な〆になってしまった。