ともきんぐだむ

主にゲームやアニメなどの話題について、その時、考えたことを書きます。

【あつ森感想】これはクラフトゲーでもスローライフでもない/あつまれどうぶつの森レビュー

※酷評レビューなのでご注意ください

 

3月24日に発売されたNintendo Switch専用ソフト『あつまれどうぶつの森』。多くの人が知るであろうどうぶつの森シリーズの最新作です。

今回の目玉は無人島生活であり、発売直前に配信されたどうぶつの森ダイレクト( 

https://www.youtube.com/watch?v=_rRdFPVwh0I&t=1326s)にて、島を自由に開拓し住民たちと理想の無人島生活を送る様子が紹介されました。

ここからどうぶつの森というゲームに、マインクラフトに代表されるクラフト要素を盛り込んだ、意欲的なゲームであると思われました。

 

いや、そう勘違いした自分が悪かったのかもしれません。

 

このゲームは、クラフトゲームの表面だけをなぞっただけで、杜撰なゲーム内容を、不便な仕様でごまかしているだけの時代遅れな……はっきり言えばクソゲーでした。

 

クラフトゲームはなぜ面白いか

私はクラフトゲームが大好きです。

マインクラフトはもちろん、テラリアやドラゴンクエストビルダーズ牧場物語にクラフト要素を取り入れたStardew Valleyなど、様々なゲームを遊んできました。

これらに共通するのは、大きなクラフトを達成することで世界が広がることです。

 

例えば、Stardew Valleyでは素材を集めることで、バター生成装置やスプリンクラーなどを作ることができます。

頑張ってこれを作成することで、販売価格や作業能率がグッと上がるわけです。

また、ドラゴンクエストビルダーズでは、クラフトをすることによって、施設を拡充していき、住民たちからえられる報酬(ビルダーハート)が増える仕組みになっています。

 

あつ森はどうでしょうか。

クラフトできるのは、消耗品と化した道具たちと、飾ることしかできない家具のみです。

オノが壊れるのは、当然ユーザーのストレス要因です。

頑張ってクラフトして「はじめは壊れていたオノが、壊れなくなった」ならば、それは素敵な達成報酬でしょう。

しかし、このゲームは金のオノですら壊れます。

貴重な資源を利用して得たものなのに、結果はちょっとストレス要素が緩和されるだけです。

ただの嫌がらせ仕様の延長でしかありません。

また、どうぶつの森の重要収集アイテムである家具をDIYで作れるのは確かに魅力的ですが、その大半はDIYで作ることはできず、外部から取り寄せた品ばかりです。

 

 

クラフトゲームならば、交通機関や施設をクラフトしていくのは醍醐味の一つでしょう。

このゲームでも、一度は頑張って素材を集めて「橋制作キット」を作ることができます。

まさに、橋を作ることで移動が快適になりますし、家も建てられるようになるので、世界が広がっています。

しかし、なんとこの橋をクラフトできるのは一度きり

それ以降は、高額の現金を払って工事してもらうことになります。豪華な橋になれば30万ベル近い資金が必要になる嫌がらせ仕様。

なぜ、DIYをウリにしているゲームで、業者に発注して工事してもらわなければならないのか?

このゲーム、肝心なツールはすべて現金かマイルで交換する仕様になっています。

家を移動するのも、キャンプ地を作るのも、坂道を作るのも、全て金、金、金…… 

後に触れますが、DIY画面の不便さはそこらのRPGにすら劣る劣悪なものです。

そんなことなら、初めからDIY機能など、存在させるべきではなかったでしょう。

そして目玉である島クリエイターも、マイルと引き換えにライセンスを入手します。

 

無人島ですが、ライセンスです

 

常にお上にお伺いを立てて高額の使用料を払わなければ開拓ができない。

誰もが開拓を放棄しているのに、開拓するには、行政に許可証をもらわなければならない。

そんな中央集権社会主義国家が、あつまれどうぶつの森の目指す無人島生活の姿です。

 

さらに、この島クリエイターを使ったところで、何一つゲーム内容に変化はない、完全におまけ要素なのです。

島をどれだけ開拓しようが、住民は極小のまま変わりませんし、坂や橋を作るには別途現金が必要です。

そもそも、スタッフロール後に解禁されるあたり、完全におまけ扱いなのでしょう。

 

この世にクラフトゲーなるゲームがあふれること数年。

満を持して登場したのは、先達たちの偉大な成果を本当に遊んだことがあるのか?と聞きたくなるほどの、稚拙なDIY機能でした。

 

サバイバルはなぜ面白いか

このゲームの目玉はクラフト要素だけではありません。

無人島生活も醍醐味の一つです。

 

ですが、このゲームに無人島らしさは一切ありません。

 

無人島といえば、食料の確保や居住地の開拓などが醍醐味でしょう。

無人島に一つモノを持っていくとしたら何を持っていくか」という、冒頭でまめきちつぶきちが聞く質問もそれを掻き立てます。

しかし、先ほども言った通り、全ての工事は業者に発注します。

このゲームには食料の概念も存在しません。豊富な魚の種類が存在しますが、コレクターアイテムの域を出ません。

多くの家具はDIYでは作れずに、外部から取り寄せた品です。自分の手で高度に文明的な素材を生産するということはありません。

結局、外界から取り寄せた文明の利器を用いて快適な生活を送る、なんちゃって無人島生活です。

 

たぬきちが提供する「無人島移住パッケージ」なのだから、そのような配慮は当然だろうという声もあるでしょう。

そう、このゲームの本旨は「無人島移住パッケージ」なのです。

では、なぜ島の魅力を揚げて観光客を増やさなければならないのでしょう?

なぜ、せっかく移住した無人島をリゾート地として開発しなければならないのでしょう?

共に住む住民を自分の好みに入れ替えるのでしょう?

 

これは、実際に移住した住民たちの要望によるものではありません。

全ては、たぬきちの身勝手な欲求によるものです。

無人島移住をうたっておきながら、なぜ、狸の奴隷となってリゾート地開発に加担しなければならないのか?

無人島で自分たちの城を作るのであれば、なぜ外的な「評判」という評価を求めなければならないのか?

 

無人島生活というコンセプトからして、破綻していると言わざるを得ません。

共に新生活を始める住人たちにもなんのドラマもなく、一切島開拓に協力せずに、空虚な定型句を繰り返すのみ。

開拓はたぬきちのみの要望であり、プレイヤーのみがその労働に駆り出されるのです。

 

本当に開拓をするゲームを遊んだことがあるのか?と言いたくなるような、なんとまお粗末な設定ではないでしょうか。

 

ゲームはなぜ面白いか

ゲームの面白さについては、いろいろな側面があり、ひとつに定めることなどできません。

しかし、その中の一つに「努力が報われること」があるでしょう。

 

作業を積み重ねた先に、確かな報酬がある。

例えば、RPGであれば、地道にレベル上げをして、ストーリーが進行し世界が救われることが報酬です。

牧場物語であれば、単調作業を能率化して、さらなる生産体制を築いていくことが報酬です。

テトリスであれば、操作技術を挙げて、ハイスコアに記録を残すことが報酬です。

このように、努力が報われることが更なるゲームへのモチベーションになっているといえるでしょう。

 

では、このゲームはどうでしょうか。

木や石を手に入れるための単調作業は効率化されるでしょうか?

住民たちとの会話に進展がみられるでしょうか?

レアアイテムをゲットできるようになるでしょうか?

 

答えは否です。

 

貴重な素材を消費して作られる金の斧は、結局壊れるというデメリットが払拭されません。

住民との会話のバリエーションは極めて少なく、仲良くなったところで多少家具をもらえるか、アイテムに現金でお礼してくれるようになる程度です。

レアアイテムである金鉱石やレア魚は、何かをすることで手に入れやすくなるということは特になく、ただただ気長に素材ガチャを回し続けることで手に入ります。

 

このゲームはガチャがとても多い。

 

魚釣りは巨大魚の魚影がスズキなどと変わらないため、事前に期待をかけられることもなく、ただただガチャです。釣竿をグレードアップすれば釣れるといった要素はありません。

石を砕くのも木を砕くのも同様です。どんな種類の木材が必要でも、島を回って延々と単調を繰り返さなければなりません。住民が集めておいてくれるみたいな要素はありません。

マイル旅行券は、なんと自動生成ではなく固定された10種類程度の島からランダムです。そのうちの大半は大した素材が取れないため、2000マイルという高額のコストを消費するだけのガチャです。

 

このゲームにおける素材収集は、どこまで行っても延々とランダム要素と向き合わなければなりません。

言ってしまえば課金のないソーシャルゲームです

日々手に入る少量のマイルや、一日の収集に限りある木や石などの素材を、ちびちびとガチャを回し続けるゲームです。

住人もこのガチャ仕様であるから、たちが悪い。

 

ソーシャルゲームにおける課金は、時間を購入するようなものだという話がありますが、課金がないのでただ時間を浪費することだけがステータスになります。

なので、リアルマネーや上記のマイル旅行券を対価にした取り引きが行われているのを、調べればすぐに確認できるでしょう。

売り切り型のゲームでありながら、ソーシャルゲームの悪い部分だけを抽出したようなゲームデザインになっています。

 

もちろん、やりこみ要素はあります。

マイルを達成することは一つのやりこみ要素といえるでしょう。

また、博物館を完成させることも、大きな目標の一つです。

 

しかし、マイル稼ぎのメインは質の悪いログインボーナスにとってかわられ、存在意義が薄くなります。そもそも、マイルを集めてできるのはガチャです。

博物館は確かにやりこみ要素ですが、報酬はありませんし、達成率のような数字が表示されることもありません。プレートを読んでも解説が増えることもなく、さらにはカメラを回せないためじっくり鑑賞することも困難です。

つまりはグラフィックだけこだわったハリボテです。

家具集め同様、とことん自己満足以外の目的が見出しにくい仕組みになっています。

 

では、最後の砦であるストーリーはどうでしょう。

そもそも、なぜ住民を酷使して、島のリゾート開発が推進されたのでしょう。

 

とたけけを呼びたいからです。

 

つまり、狸の自己満です。

 

そんな自己満を、プレイヤーの自己負担で要求してきます。

まだ、素材や金を出して最高のリゾート地を作ってくれと言われたほうがモチベーションを保てたのに。

その自己満が達成された時、とたけけのライブと共にスタッフロールが流れます。

つまり、プレイヤーの悲願ではなく、狸の悲願が達成されることがこのゲームの区切りであると、スタッフは考えているわけです。

 

そもそもこのゲームのたぬきちは、重要事項である現金を持ってくることを言い忘れたり、何かとサイコパスな言動が目立ちます

島に幽閉してフルーツや魚を納品させるさまは、まるで懲役であり、無利子で借金してるからという美談で済む話ではありません。

これは、たぬきち本人のキャラクターからも離れており、ただがめつさを強調したいだけのスタッフの悪ノリの被害者ともいえるでしょう。

 

いずれにせよ、このゲームは「努力と報酬」というサイクルが破綻しており、自己満足か、twitterでバズることぐらいしか目的が見出せない構成になっています。

スタッフはそもそも他のゲームを遊んだことがあるのか?と思わざるを得ません。

 

 

スローライフではなく遅延戦術

このゲームは「1日待ってください」が多すぎます。

生物を渡してフータが来るまでに1日。

博物館建設中になるのに1日。

博物館が建つのに1日。

博物館が建つことは、なぜか街づくりを進めるための重要なフラグなので、島づくりの数々の機能を開放するためには、これだけの期間待たなければなりません。

このように、街を発展させるには、いちいち現実時間で1日待たなければなりません。

さらに、材料のリポップも1日待たなくてはなりません。この材料は家族で共有ですので、誰かが採ったらその日は終わりです。

なんのために金曜日に発売したのでしょうか。

 

どうぶつの森シリーズはスローライフをウリとしたシリーズです。

しかし、スローライフとは、大きな変化のない世界の中で、自分のやりたいことをとことんやるゲームではないでしょうか。

ゲームの側からやることを制限してどうするんですか。

自分らしい生活を送るからこそのスローライフです。

そのために日付変更に手を出す人がいることからも、考えるべきでしょう。

制作者が勝手に考えたスローライフを強要されることに面白さは何もありません。

これでは、ただプレイ時間を引き延ばすための遅延戦術といわれても仕方ないのではないのでしょうか。 

 

スタッフは時間を飛ばさずにテストプレイをしたことがあるのか?

 

業界最底辺レベルのUI

このゲームのUIの劣悪さについては、もはや語りだしたらきりがありません。

 

DIYはまとめて作ることができず、材料もいちいち倉庫から取り出して手持ちに入れなければならない。

木を揺らす動作とオノで木を切る動作が同じボタンなので暴発する。

持ち物を30個単位でしか持てず売却できない上に1個しか分割できない仕様はだれが考えたのでしょう。

購入は1個か5個しか選べないのは、個数指定できなかったからですか。プログラミング初心者ですか。

アサリを分割所持するのはただの嫌がらせですか。

そもそも道具が作用する場所はマーカーぐらい出してくれませんか。

スコップで意思を削ったときにノックバックするの必要ありましたか。

今時カメラオプションがないゲームなんて久々に見ました。

自分の手慣れたカメラオプションと全部真逆なので頭がちぎれそうです。

そもそも家の中でしかカメラ回せないって・・・。

博物館では展示物の拡大表示ぐらいできてよかったのでは。博物館なんだから。

十字キーでアイテムを選べるのは結構ですがどこから突っ込んでいいのかわからないぐらい不便です。

開始時にスキップできないたぬきちしずえの挨拶は必要だったのかハイカラニュースから何を学んだのか。

まめきちつぶきちの振り込みアナウンスもテンポが悪い。

手持ちの自動整理ぐらいできて当然ではないでしょうか。

偶然発見しない限り道具の並び替えできなかったのですが、その説明はどこかであるべきではないでしょうか。

博物館で説明を聞くにはもう一個生物を連れてこなければいけないって何のギャグでしょうか。

通信中は家具を移動できないっていつの時代の技術ですか。

 

・・・枚挙すればきりがないですが本当にこれは氷山の一角です。

 

また、1台のSwitchを家族で共有した場合のひどさは説明するまでもありません。

「島を共有」というシステムを押し出したいがために、ほかのすべてを犠牲にしたとしか思えない仕様です。

 

連日の不具合修正を見るに、デバッグすらおろそかではありますが、そもそも自分たちの作ったゲームをプレイしてみたことがあるのか?

 

まとめ

さて、ひとつひとつの要素を酷評してきました。

長所はないのでしょうか。

前作から解像度だけは向上したグラフィックは長所の一つですが、もっと大きな長所があります。

 

それは、任天堂のゲームであること、どうぶつの森であることです。

それだけで本作には無限の価値が生まれます。

任天堂ブランドに裏打ちされたおなじみのキャラクターが登場するゲームであるというだけで、それでもう完成系なのです。

マスターを含め多くのキャラクターたちがリストラされているなどという、些細な問題に目をつぶれば、確かにこの作品はどうぶつの森なのです。

そのブランドに金を出すという意識でいれば、確かにこの作品は十分すぎるほどの良作といえるでしょう。

 

あつまれどうぶつの森、いかがでしょうか。